「固定費を見直して、投資に回せるお金が毎月できた。よし、新NISAを満額使って一気に投資しよう!」
——もし、この記事を読んでいるあなたがそう考えているなら、ちょっと待ってください。
私自身、投資を始める前にこう考えていました。しかし、ある動画で「生活防衛資金」という考え方を知り、考えを改めました。結論から言うと、投資の前に「生活費の6ヶ月分」を現金で確保しておくことが、長期投資を成功させるための土台になります。
この記事では、20代会社員の私が実際に120万円の生活防衛資金を1年かけて貯めた話と、その置き場所、そして「投資と貯金のバランスをどう考えているか」という本音の部分まで、すべて公開します。
本記事の考え方のベースは、両学長(リベラルアーツ大学)の以下の動画を参考にしています。 【再放送】生活防衛資金はいくら貯めれば良いか?【お金の勉強 初級編】
生活防衛資金とは?投資の前に必要な「お守り」のお金
生活防衛資金とは、病気・ケガ・失業・冠婚葬祭などの緊急事態に備えて、生活を維持するために確保しておく現金のことです。
ポイントは、投資資金とは完全に切り離して管理すること。投資用のお金と生活防衛資金を一緒にしてしまうと、いざというときに引き出せず、本来の役割を果たしません。
なぜ生活防衛資金がないと投資で失敗するのか
「生活防衛資金がなくても、投資した分を売ればいいのでは?」
そう思うかもしれません。しかし、これが投資初心者がやりがちな典型的な失敗パターンです。
たとえば、コロナショックや2024年8月の暴落のように、相場は突然30%以上下落することがあります。そのタイミングで急にお金が必要になったらどうなるか——含み損を抱えたまま、底値で売却するしかなくなるのです。
長期投資で利益を出すための鉄則は「下がっても売らずに持ち続けること」。しかし、生活防衛資金がないと、暴落時に売らざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。
生活防衛資金は「メンタルの安定剤」
両学長の動画でも強調されていましたが、生活防衛資金の最大の効果は精神的な安定です。
「6ヶ月分の生活費が銀行口座にある」という状態は、何があっても半年は生きていけるという安心感を生みます。この安心感があるからこそ、投資の含み損が出ても冷静でいられ、長期で持ち続ける選択ができるのです。
生活防衛資金は、お金そのものというより「投資を続けるための心の余裕」を買うためのお金——そう捉えると、その重要性が腹落ちすると思います。
いくら貯めればいい?目安は「生活費の6ヶ月分」
生活防衛資金の目安は、立場によって異なります。
| 立場 | 推奨される生活防衛資金 |
|---|---|
| 会社員(公務員含む) | 生活費の 6ヶ月分 |
| 自営業・フリーランス | 生活費の 1〜2年分 |
会社員が6ヶ月分で足りる理由は、日本の社会保障制度が充実しているからです。
- 傷病手当金:病気やケガで働けなくなった場合、健康保険から最長1年6ヶ月、給与の約2/3が支給される
- 失業保険(雇用保険):失業時に一定期間、給与の約50〜80%が支給される
- 有給休暇:短期の休養なら給与をもらいながら休める
これらのセーフティネットがあるため、会社員は半年もあれば次の収入源を確保できる、というのが目安の根拠です。一方、自営業はこうした制度の恩恵が薄いため、より多くの備えが必要になります。
自分の「生活費」を計算する方法
ここでいう「生活費」とは、最低限生きていくのに必要な月の支出です。具体的には、
- 固定費:家賃、光熱費、通信費、保険料、サブスク代
- 変動費:食費、日用品、交通費、最低限の交際費
の合計を出します。趣味の高額な買い物や旅行費は含めなくてOKです。「失業しても削らない支出」と考えるとイメージしやすいと思います。
【実例】私の生活防衛資金:月20万円×6ヶ月=120万円
ここからは、実際に私が貯めている生活防衛資金の話をします。
私の生活費の内訳はこうです。
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 固定費(家賃・光熱費) | 約8万円 |
| 変動費(食費・日用品・交際費など) | 約12万円 |
| 合計 | 月20万円 |
これに6ヶ月分をかけて、生活防衛資金は120万円としました。
1年かけて貯めた具体的な道のり
実は、生活防衛資金を意識し始めた時点で、すでに60万円ほどの預金がありました。つまり、不足分の60万円を貯めればいいわけです。
そこで、約1年かけて月10万円のペースで積み上げる計画を立てました。配分はこうです。
- 生活防衛資金(預金)に毎月5万円
- 新NISA(つみたて投資)に毎月5万円
——え、生活防衛資金が貯まる前に投資を始めていいの?と思った方もいるかもしれません。
私は「投資はできるだけ早く、少額からでも始めるべき」と考えています。理由は、投資は知識より「経験」で身につく部分が大きいから。本やYouTubeで100時間勉強するより、実際に1万円投資して相場の上下を体験するほうが、はるかに学びになります。
生活防衛資金がゼロなら投資は完全にストップすべきですが、ある程度の貯金があるなら、「貯金と投資を並行して進める」のは現実的な選択肢だと考えています。
生活防衛資金はどこに置く?私は住信SBIネット銀行を使っています
生活防衛資金の置き場所には、明確な正解があります。それは「すぐに引き出せる普通預金」です。
なぜ普通預金一択なのか
「金利が低い普通預金よりも、定期預金や債券の方がいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、生活防衛資金には絶対に外せない3つの条件があります。
- 元本割れしないこと——いざ使うときに減っていたら意味がない
- すぐに引き出せること——緊急時に1週間待たされたら困る
- 管理が簡単なこと——使わずに置いておくものなので、手間がかからないことが大事
この3つを満たすのは、普通預金しかありません。定期預金は途中解約のハードル、投資信託や債券は元本割れリスクがあるため、生活防衛資金には不向きです。
「金利分の機会損失」を気にする声もありますが、生活防衛資金はそもそも「お守り」のお金。利益を狙うものではなく、減らさず・すぐ使える状態を維持することが最優先です。
私が住信SBIネット銀行を選んでいる理由
数あるネット銀行の中で、私は住信SBIネット銀行をメインで使っています。
選んだ理由はシンプルに2つです。
- ATM手数料・振込手数料が無料枠で十分使える——スマプロランクに応じて手数料が無料になり、日常使いで困ることがない
- SBI証券を使っているから——証券口座と連携することで、預金から投資への入金がスムーズ(ハイブリッド預金機能)
特に2つ目が大きいです。SBI証券で新NISAをやっている人は、住信SBIネット銀行とセットで使うことで、投資のお金の動きが一つの画面で完結します。
ちなみに、PayPay銀行など他のネット銀行も併用していますが、メインの生活防衛資金置き場は住信SBIネット銀行です。
メガバンクの普通預金より、ネット銀行を強くおすすめする理由
メガバンク(三菱UFJ・三井住友・みずほ)の普通預金金利は年0.001%〜0.2%程度が中心ですが、ネット銀行はそれより高めの金利を設定していることが多いです(具体的な数字は変動するので、各銀行の最新情報をご確認ください)。
加えて、ATM手数料・振込手数料の無料枠が充実しているのも大きな違い。メガバンクで時間外手数料を毎月数百円払っているなら、それだけで年間数千円の損をしている計算です。
生活防衛資金を貯め始める段階で、ネット銀行の口座を開設しておくことを強くおすすめします。
投資と貯金のバランス:「生活防衛資金を減らして投資に回したい」という本音
ここまで「生活費の6ヶ月分を貯めるべき」と書いてきましたが、正直に言うと、私は今、生活防衛資金を少し減らして投資に回したいと考えています。
理由は2つあります。
理由①:一人暮らしの自分は、リスク許容度が比較的高い
家族を養っているわけではないので、最悪の事態でも自分一人がなんとかなればいいという状況です。守るべき人がいる家庭持ちとは、リスクの取り方が違って当然だと考えています。
理由②:失業しても、アルバイトをすれば生活防衛資金は6ヶ月以上もつ
「6ヶ月分」という目安は、完全無収入の状態を前提にした金額です。しかし現実には、職を失ってもアルバイトで月10万円程度の収入を得るのはそれほど難しくありません。
仮に月20万円の生活費に対して月10万円のアルバイト収入があれば、月の不足分は10万円。120万円の生活防衛資金があれば1年もつ計算になります。
つまり、自分の状況なら3〜4ヶ月分でも十分機能するのではないか、と最近考え始めています。
でも、まだ減らせていない
理屈ではそう思っていても、実際に減らす行動には踏み切れていません。それは、「6ヶ月分ある」という心理的な安心感を手放すのが惜しいからです。
生活防衛資金は、お金そのものよりも「精神的な安定」を提供するもの。減らせば数字上は合理的でも、メンタルが不安定になれば長期投資の継続自体が危うくなる。このバランスを今も悩みながら調整しています。
結局のところ、「自分にとって本当に安心できる金額」は人それぞれです。教科書通りの6ヶ月分にこだわらず、自分のリスク許容度と相談しながら決めるのが正解だと思います。
まとめ:投資の前にやるべき3ステップ
最後に、20〜30代の投資初心者が無理なく資産形成を始めるための、私のおすすめステップをまとめます。
- 固定費を見直して投資の元手を作る——スマホ・保険などを最適化して、毎月の余剰を生む
- 生活防衛資金(生活費の6ヶ月分)をネット銀行に貯める——同時に少額の積立投資を始めて、投資に慣れていく
- 余剰資金で新NISAなどの長期投資を本格化する——心の余裕を持って続ける
このステップを踏むことで、暴落が来ても慌てず、長期で資産を育てる「土台」ができあがります。
投資は派手で楽しい部分が注目されがちですが、本当に大事なのは地味な「土台作り」です。生活防衛資金という名のお守りを準備することから、あなたの資産形成の旅を始めてみてください。
※本記事は筆者の実体験に基づく情報提供を目的としており、特定の金融商品・銀行を推奨するものではありません。生活防衛資金の必要額は個人の状況により異なります。実際の判断にあたっては、ご自身の生活状況やリスク許容度を踏まえてご判断ください。