「投資を始めたいけれど、毎月いくら回せばいいかわからない」
これは20〜30代の投資初心者が必ずぶつかる悩みです。多すぎれば生活が圧迫されて続かないし、少なすぎれば資産形成の効果が薄い。ちょうどいい金額を見つけるのは意外と難しいものです。
結論から言うと、手取りの2割が一つの目安ですが、これはあくまでスタート地点。本当に大事なのは自分の生活コストから逆算して「無理なく続けられる金額」を見つけることです。
この記事では、
- 手取り20万・25万・30万円の3パターンのシミュレーション
- 手取り25万円・年収470万円の私自身のリアルな配分(つみたて10万+成長枠100万)
- 投資額を決めるときに押さえるべき3つのルール
をすべて公開します。これを読めば、自分の手取りで「いくら投資に回せばいいか」の答えが見つかるはずです。
投資額を決める3つの基本ルール
具体的なシミュレーションに入る前に、投資額を決めるときの前提を整理しておきます。これを押さえていないと、どんなシミュレーションも砂上の楼閣になってしまいます。
ルール①:生活防衛資金が確保できていることが大前提
投資の前に、必ず生活費の6ヶ月分の生活防衛資金を確保しておきましょう。これがないと、暴落時に底値で売るハメになり、長期投資のメリットを享受できません。
ルール②:固定費を見直して「無理なく回せる金額」を作る
投資の元手は、節約から生まれます。スマホや保険などの固定費を見直すだけで、毎月数万円の余剰が生まれることも珍しくありません。
ルール③:「手取りの何割」より「自分の生活コスト」から逆算する
「手取りの2割を投資に」というルールはよく見かけますが、人によって生活コストは大きく違います。家賃が高い都市部の人と、地方で家賃が安い人では、同じ手取りでも投資に回せる額は変わります。
私自身、書籍やYouTubeで色々なルールを見ましたが、最終的には自分の家計と相談して計算するしかないという結論に至りました。万人に当てはまる正解はありません。
この3つを押さえたうえで、具体的なシミュレーションに入っていきます。
手取り別「投資に回せる額」シミュレーション
ここからは、20〜30代の一人暮らしを想定して、手取り月収別に「投資に回せる額」をシミュレーションします。生活費は地域差や個人差があるので、あくまで一例として参考にしてください。
| 手取り月収 | 生活費目安 | 残り | 推奨つみたて額 | 余裕資金(成長枠など) |
|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 17万円 | 3万円 | 月2〜3万円 | ボーナス時にまとめて |
| 25万円 | 20万円 | 5万円 | 月3〜5万円 | 年30〜50万円 |
| 30万円 | 22万円 | 8万円 | 月5〜8万円 | 年50〜100万円 |
【手取り20万円】まずは「投資の習慣」を作るフェーズ
新卒や20代前半に多い手取り水準です。一人暮らしだと家賃を含めた生活費で17万円程度かかるため、毎月の余剰は2〜3万円といったところ。
このフェーズでは、金額の大きさよりも「投資の習慣」を身につけることが最優先です。月1万円でも構いません。新NISAのつみたて投資枠で全世界株式やS&P500のインデックスファンドを買い始めることで、相場の上下に慣れていきましょう。
ボーナスが出たら、その一部を成長投資枠にまとめて入れる方法もアリです。
【手取り25万円】月3〜5万円を「自動化」できるフェーズ
20代後半〜30代前半のボリュームゾーンです。生活費20万円に対して月5万円程度の余剰が生まれます。
この水準になると、月3〜5万円の積立投資を自動引き落としで設定し、あとは放置——というスタイルが現実的です。意識せずとも資産が積み上がる仕組みが作れます。
ボーナスも含めれば、年間で50〜80万円程度を投資に回すことも可能。新NISAのつみたて枠を月5万円使うだけで、年60万円の非課税投資ができます。
【手取り30万円】つみたて枠の「満額活用」が射程に入るフェーズ
30代の方や、昇給を重ねた20代後半の方の水準です。月8万円程度の余剰が出るため、新NISAのつみたて投資枠(月10万円)の満額活用も視野に入ります。
ボーナスや残業代を成長投資枠に振り向ければ、年間200万円超を投資に回すことも可能。20年〜30年というスパンで見れば、資産形成のスピードが大きく変わってきます。
ただし、ここで注意したいのが「生活レベルを上げすぎない」こと。手取りが増えても生活費は手取り20万円のままに据え置けば、その差額がそのまま投資原資になります。
【実例】私の場合:手取り25万円・月10万円を投資に回している話
ここからは、私自身のリアルな配分を公開します。手取り25万円の20代会社員という、シミュレーション表のちょうど真ん中のケースです。
私の収入と支出の全体像
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 手取り月収(残業代・ボーナス除く) | 25万円 |
| 手取り年収(ボーナス110万円含む) | 470万円 |
| 月の生活費 | 20万円(固定費8万+変動費12万) |
| 月の余剰 | 5万円 |
「月の残り5万円なのに、月10万円を積立投資?」のカラクリ
ここで気づいた方もいるかもしれません。月の余剰が5万円なのに、つみたて投資枠は月10万円(上限)使っている——どういうこと?と。
答えはシンプルで、ボーナスを毎月の積立の原資として組み込んでいるからです。
月の手取りでは5万円しか余らないので、残りの5万円はボーナスで補填する仕組み。年110万円のボーナスのうち、60万円分を毎月の積立補填に使うイメージです。
これが私の現在の投資配分です。
| 投資先 | 金額 |
|---|---|
| 新NISA つみたて投資枠 | 月10万円(年120万円・上限) |
| 新NISA 成長投資枠 | 年100万円程度 |
| 年間投資額(合計) | 約220万円 |
成長投資枠の年100万円は、家計管理で余った預金やボーナスの残りを充てています。「使い切らずに残ったぶんを投資に回す」というシンプルな運用です。
なぜ私はつみたて投資枠を「満額」にしたのか
つみたて投資枠を月10万円(上限)に設定した理由は、3つあります。
①非課税枠は使い切らないともったいない
新NISAのつみたて投資枠は年120万円が上限。これを使い切らずに課税口座で投資するのは、明らかな機会損失です。
非課税で運用できる枠は、国が用意してくれた「特別な席」のようなもの。座れるのに座らない手はありません。
②20代のうちは「時間」を最大限に味方にできる
投資の最大の武器は複利と時間です。20代から始めれば、運用期間を30年〜40年取れる可能性があります。
同じ金額を投資するなら、早く始めて長く運用するほうが圧倒的に有利。これは後ほど具体的な数字でも示します。
③一度設定すれば自動で続く
積立投資の最大の利点は「意思決定の回数が減る」ことです。一度設定してしまえば、相場が上がろうが下がろうが自動で買い付けてくれます。
毎月「今月いくら投資しよう」と悩む必要がなく、続けるための心理コストがゼロ。これが長期投資の継続率を大きく上げてくれます。
ただし、誰にとっても「満額が正解」というわけではありません。生活が圧迫されるなら無理せず減額すべきです。私の場合は、固定費見直しと生活防衛資金の確保が済んでいたから、満額にする決断ができました。
ボーナスは「成長投資枠」へ:私の使い分け
毎月の積立補填に使ったボーナスの残りは、ほぼ全額を新NISAの成長投資枠に投入しています。
「ボーナスで自分へのご褒美を」という考え方も否定しませんが、私はあえてボーナスを「未来の自分への投資」に変える方針にしています。
理由は3つ。
- 生活費は毎月の手取りで完結しているので、ボーナスを生活に使う必要がない
- 使い道を先に決めておかないと、なんとなく浪費に消える——人間、目の前にお金があると使ってしまう生き物です
- 成長投資枠(年240万円)のペースに合う——つみたて枠と合わせて、新NISAをフル活用できる
「ボーナスをまるごと投資に回すなんて極端では?」と感じた方もいるかもしれません。でも、月々の生活がボーナスなしでも回るように設計してあれば、ボーナスは「ボーナス」=本来は無いものと考えても困らないんですよね。これが、ボーナスをまるごと投資に向けられる前提です。
投資額は「絶対額」より「続けられるか」
最後に、投資額を考えるうえで一番大事なメッセージをお伝えします。
それは、「いくら投資するか」より「何年続けられるか」のほうが、最終的な資産額に大きく影響するということです。
元本720万円を同じにした、リアルな比較
仮に元本を同じ720万円にして、「月3万円を20年積立」と「月10万円を6年積立」を比較してみます。年利5%(インデックス投資の長期平均的な水準)で運用したと仮定した場合の結果がこちらです。
| ケース | 投資元本 | 運用後の資産 | 増えた分 |
|---|---|---|---|
| 月3万円×20年 | 720万円 | 約1,233万円 | 約513万円 |
| 月10万円×6年 | 720万円 | 約838万円 | 約118万円 |
同じ元本でも、運用期間が長いケースのほうが約400万円も多く資産を残せます。これが複利の力です。
「月3万円なんて少なすぎる」と思った方こそ、この数字を見てほしいと思います。少額でも長く続けることに、絶対的な価値があります。
私自身も「無理なく増やす」スタンス
ちなみに私も、いきなり月10万円を積立てたわけではありません。最初は無理のない金額からスタートして、昇給や残業代で余裕が出てきた分を成長投資枠に少しずつ振り向ける形で投資額を増やしてきました。
今後も、収入が増えたら成長投資枠への入金を増やしていく予定ですが、つみたて投資枠の月10万円は変えません。基盤を維持しながら、上乗せで攻める——この組み合わせが、長期投資の安定にも、資産形成のスピードアップにもつながると考えています。
まとめ:投資額の決め方3ステップ
最後に、投資額の決め方を3つのステップにまとめます。
- 生活防衛資金(生活費の6ヶ月分)を確保する——これが投資のスタートライン
- 月の手取り − 生活費 = 投資原資を計算する——「手取りの2割」より、自分の家計から逆算するほうが正確
- 新NISAのつみたて投資枠を優先し、余裕があれば成長投資枠も活用する——非課税枠を最大限に使う
そして、何よりも大事なのは——「無理なく続けられる金額」を選ぶことです。
月10万円で1年で挫折するより、月3万円を20年続けるほうが、最終的に得られる資産は大きくなります。投資は短距離走ではなく、マラソン。ペースを守って走り続けた人が、最後にゴールテープを切ります。
これで「家計と節約」シリーズの3記事——固定費見直し・生活防衛資金・投資額の決め方——が揃いました。土台が整ったあなたは、次は新NISAの具体的な始め方や、投資信託の選び方を学んでいくフェーズです。今後の記事で、そのあたりも詳しく解説していきます。
※本記事は筆者の実体験に基づく情報提供を目的としており、特定の金融商品を推奨するものではありません。投資の判断はご自身のリスク許容度を踏まえて行ってください。シミュレーションの数字は将来の運用成果を保証するものではありません。