「新NISAとiDeCo、結局どっちから始めればいいの?」

20〜30代の会社員なら、一度は感じたことのある悩みだと思います。書籍やYouTubeを見ると「両方やるべき」「iDeCoの節税が強力」「いや新NISAだけで十分」など意見が分かれていて、結局答えが見つからない——という方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、20〜30代の会社員はまず新NISAから始めれば十分です。iDeCoは「余裕がある人の追加オプション」として位置づけるのが現実的だと、私は考えています。

この記事では、

  • 新NISAとiDeCoの5つのポイントでの違い
  • なぜ20〜30代はまず新NISAでいいのか、3つの理由
  • iDeCoの節税効果との冷静な比較
  • 新NISAだけ使っている私のリアルなケース
  • 「iDeCoを優先すべき人」の条件

を、正直に解説していきます。私(カグヤ)自身、新NISAは使っていますがiDeCoには加入していません(勤務先の企業型DCには加入中)。FP3級の知識を踏まえつつ、自分の選択についても包み隠さず書いていきます。


新NISAとiDeCo、5つのポイントで比較

まずは両制度の違いを整理しましょう。代表的な比較ポイントは以下の通りです。

比較項目新NISAiDeCo
引き出し制限いつでも引き出せる原則60歳まで不可
拠出時の節税なし全額所得控除
運用益への課税非課税非課税
受取時の税優遇不要(そもそも非課税)退職所得控除等
年間上限額360万円14.4万〜81.6万円(職業による)
商品ラインナップ豊富限定的(金融機関による)
手数料無料加入時2,829円+月171円〜

ざっくりまとめると、節税効果ではiDeCoが優位、自由度では新NISAが圧倒的に優位となります。

ここで多くの記事は「だから併用しましょう」と話をまとめますが、20〜30代の現実を考えるとこの結論は早すぎます。次のセクションで、その理由を3つ挙げます。


なぜ20〜30代会社員は「まず新NISA」でいいのか

私が新NISA優先を推す理由は3つあります。順番に解説します。

理由①:年間上限360万円は、普通の会社員には埋められない

新NISAの年間投資上限は360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)です。これを毎月に直すと、月30万円を投資に回す計算になります。

ここで現実を見てみましょう。手取り月収25万円〜30万円の20〜30代会社員が、毎月30万円を投資に回せるでしょうか?答えは明確に「NO」です。生活費を考えれば、ほとんどの人がこの上限を埋めることはできません。

つまり、枠不足を心配する段階ではないのです。「新NISAだけでは足りないから、iDeCoも併用しよう」という発想は、まず新NISAの枠を埋め切れるレベルの人にとっての話です。

関連記事:手取り別「投資に回せる額」の決め方

理由②:流動性が圧倒的に高い

新NISAはいつでも引き出せるのに対し、iDeCoは原則60歳まで引き出せません。これは20〜30代にとって、とても大きな違いです。

20〜30代は、人生の大きな変化が起こりやすい年代です。

  • 結婚・出産
  • 住宅購入
  • 転職・独立
  • 大学院への進学
  • 親の介護

こうしたライフイベントには、まとまった資金が必要になります。新NISAで運用しているお金は、必要なときに売却して現金化できますが、iDeCoのお金は60歳まで凍結されたまま——使いたいときに使えないのです。

使えるか分からないお金より、使えるお金を増やす方が現実的」というのが、私の考える20〜30代の投資戦略です。

理由③:管理がシンプル

新NISAだけなら、口座は1つで完結します。一方iDeCoを併用すると口座が増え、

  • 運用商品のチェック
  • リバランス(資産配分の調整)
  • 受取時の手続き
  • 転職時の手続き

がすべて二重になります。

投資で最も大事なのは「続けること」です。口座が増えるほど管理コストが増え、続けるハードルも高くなります。20〜30代のうちは、まず新NISA一本で投資の習慣を確立することを最優先にすべきだと私は考えています。


iDeCoの節税効果は確かに強力。でも…

ここまで新NISA優先を推してきましたが、iDeCoのメリットを否定したいわけではありません。所得控除という強力な節税効果は、確かに新NISAにはない大きな魅力です。

たとえば年収500万円の方が月2万円(年24万円)拠出した場合、所得税と住民税で年間約4.8万円の節税になります。20年続ければ約96万円の節税効果が得られます。

数字だけ見れば「やらない理由がない」ように思えるかもしれません。ただし、ここで冷静に考えるべきポイントがあります。

それは、節税の「金額」だけを見ていると、本質を見誤るということです。

iDeCoの節税は「60歳までお金が引き出せない」という重大なトレードオフの上に成り立っています。年4.8万円の節税のために、もし急にお金が必要になったとき、本当に困るのは自分です。

20〜30代のうちは、節税効果を「副産物」として捉え、まずは流動性のある新NISAで投資の土台を作る方が、人生のリスク管理という観点で合理的だと考えています。

関連記事:iDeCoの始め方|会社員が知っておきたい仕組みと3つの節税メリット【2026年最新】


【私のケース】新NISAをメインに、iDeCoは未加入

ここからは、私自身がどうしているかを正直にお話しします。

現在の運用状況

項目金額
新NISA つみたて投資枠月10万円(年120万円・上限)
新NISA 成長投資枠年100万円程度
新NISA 合計約220万円/年
iDeCo加入していない
企業型DC(マッチング拠出含む)月16,040円

新NISAの年間投資額は約220万円。年間上限の360万円にはまだ余裕がありますが、この水準でも自分にとっては十分すぎるほどの投資額になっています。これ以上拠出すると生活が窮屈になりかねません。

仮に企業型DCがなかったとしても、同じ選択をすると思う

「企業型DCに加入しているからiDeCoが不要なのでは?」と思った方もいるかもしれません。確かにそういう面もありますが、仮に企業型DCがない会社員だったとしても、私は同じ選択(新NISAのみ・iDeCo未加入)をすると思います

理由は単純で、

  • 新NISAの枠だけで自分には十分な投資額になっている
  • 流動性のあるお金で、人生の選択肢を広げておきたい
  • 60歳まで引き出せないお金を増やすことに、今は強い必要性を感じない

からです。将来、収入や生活が安定して新NISAの枠を毎年使い切れるようになったら、そのときに改めてiDeCoの併用を検討する予定です。

関連記事:手取り別「投資に回せる額」の決め方


「iDeCoを優先すべき人」もいる

公平のために書いておくと、新NISAよりもiDeCoが優先になる、または併用が合理的なケースもあります。

  • すでに新NISAの年間360万円を毎年埋められる人:これ以上の枠が欲しいので、追加でiDeCoを使う意味がある
  • 節税効果を最大化したい高所得の人:所得税率が高いほどiDeCoの所得控除のインパクトが大きくなる
  • 老後資金専用と割り切れる、生活基盤が安定した人:60歳まで引き出せない縛りが負担にならない
  • 使う予定のないお金があり、強制的に貯めたい人:「引き出せない」が逆にメリットになる

ただし、いずれも新NISAを十分に使った上で、さらに余裕がある人のケースです。「まず新NISA、その上でiDeCoも」という順序は変わりません。


年代・状況別の現実的なアプローチ

ここまでの内容をもとに、状況別の優先順位を整理します。

あなたの状況おすすめのアプローチ
20代・投資初心者まず新NISAをスタート(つみたて投資枠でインデックス投資)
20代後半・新NISAに慣れてきた新NISAの月額を無理のない範囲で増やす
30代・新NISAに月10〜15万円拠出できているiDeCoの併用も視野に入れる
30代以降・新NISAの年360万円を毎年埋められるiDeCoの併用が合理的

ポイントは、新NISAの拠出額を段階的に上げていく中で、自然と判断のタイミングが訪れるということです。今焦って「iDeCoもやらなきゃ」と考える必要はありません。

自分が今、新NISAをどこまで使えているか」を基準に、次のステップを判断すればOKです。


まとめ:投資の優先順位は「生活防衛資金 → 新NISA → iDeCo」

20〜30代の会社員にとって、資産形成の優先順位はこのシンプルな流れで十分です。

  1. 生活防衛資金(生活費の6ヶ月分)を確保する——投資の前提
  2. 新NISAでインデックス投資を始める——20〜30代のメインエンジン
  3. 新NISAの枠を使い切れるようになったら、iDeCoも検討する——余裕がある人の追加オプション

「両方やった方が得」という意見は確かに正論かもしれませんが、まず新NISA一本に集中する方が、20〜30代にとっては現実的でストレスが少ない——というのが私の結論です。

迷ったら、まず新NISA。これだけ覚えておけば、20〜30代の資産形成は間違いません。

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※本記事は筆者の実体験と公開情報に基づく情報提供を目的としており、特定の金融商品や運用方針を推奨するものではありません。制度の詳細や上限額は記事執筆時点の情報です。最新情報は金融庁・iDeCo公式サイト等の公的情報源をご確認ください。投資の判断はご自身のリスク許容度を踏まえて行ってください。